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首無地蔵尊

お地蔵様の物語

今から三百年前、善通寺にありがたい地蔵さまがまつられていました。
ところがある日、心無い者が首から上をとって庄下川に捨ててしまいました。
それ以後は、首のない地蔵様、「首無地蔵尊」と呼ばれたそうです。
ある時、尼崎沖で漁師が漁をしていたところ、地蔵さまの御首が偶然網にかかりました。信仰心の厚い彼はその御首を家に持ち帰り、朝夕手を合わせていました。
しかしその漁師、「ある理由」から地蔵さまの御首を善通寺へ持っていくことになります。
その「ある理由」とは・・・
毎夜、夢に地蔵さまが現れ、こうおっしゃるのです。「善通寺に返してくれ。さすれば首から上の病を治してみせよう。」
何度も夢に現れるものですから、いてもたってもいられなくなり、善通寺の学解(がくげ)上人のもとへ相談に行きました。
彼の言葉を聞いた上人は、試しに御首を地蔵さまの胴体に戻してみることにしました。
すると夢のお告げ通り首と胴体がピッタリ一致したのです。
驚いた上人は、この地蔵様が尋常でない事を理解し、広く世の人々の篤志を仰いで地蔵堂を建立し地蔵様をおまつりしました。その後、病気・入学・老人ボケなど、首から上に関する願い事で、お参りする人々は絶えなかったといいます。
しかし昭和20年6月1日、太平洋戦争による空襲で御堂が消失してしまいました。だがなんと御首から上は、そのまま南を向かれた状態で全く無傷のまま発見されたそうです。ちなみに御首から下は粉々に破壊されていたといいます。
この出来事により地蔵様は御首から上だけになりました。
その後、昭和37年7月、当時の檀家、信者の方々に多数の御協力を得て、ついに現在の八角堂が新しく建立されました。
お堂内のお厨子には御首が安置されており、
「首から上のことに御利益がある」と、厚くおまつりされ今日に至っております。

※現在、地蔵様の御首は一般公開しておりません。